2024 年 8 月 26 日、シンガポール – Singtel(以下、シングテル)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび、新興成長事業を推進するシングテルの Digital InfraCo 部門の主導のもと、日本およびアジア太平洋地域における次世代データセンターおよび GPU クラウドの構築に関する協業に関する戦略的提携に合意しました。この戦略的パートナーシップは、シングテルのデータセンターおよびコネクティビティに関する豊富な専門知識および技術プラットフォームと、日立のグリーン電力ソリューション、冷却システム、ストレージインフラ、データ管理・運用を含むエンドツーエンドのデータセンター統合を可能にする日立の差別化能力を組み合わせるものです。両社は、データセンターの性能と能力を持続的に向上させることで、企業のAI導入と DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速することを目指します。
今回の合意は、両社が 2024 年 6 月に発表した、5G、エッジコンピューティング、クラウドのオールインワンオーケストレーションプラットフォームであるシングテルの Paragon と日立の AI アプリケーションを組み合わせ、日立の生産現場および顧客向けに施行するためのパートナーシップを発展させたものです。両社は、シングテルの Paragon プラットフォームと日立の AI に関する深い専門知識を通じて、顧客が AI を導入する際に直面する複雑性に対処することを目指しています。
AI やクラウドサービスの需要が急速に高まる中、日本はアジア太平洋地域で最大かつ最も急成長しているデータセンター市場の一つとして、年平均成長率 9.8% を達成し、2028 年までに 50 億米ドルに達すると予想されている[1]。
「シングテルは、お客様により良いサービスを提供し、グローバルなリーチを広げるために、パートナーとの強力なエコシステムを構築することを常に優先してきました。我々の専門知識、デジタルアセット、ソリューションを結集し、クラウドと AI を通じて、より多くの企業のビジネスと業務の革新および変革を支援できることを楽しみにしています。」
Bill Chang(ビル・チャン)
CEO
Singtel Degital InfraCo
シングテルの Digital InfraCo の CEO である Bill Chang(ビル・チャン)は、「デジタルシステムおよびサービス分野のリーダーである日立との戦略的パートナーシップは、戦略的に重要で拡大する日本市場に新たな機会をもたらすものです。シングテルにとって、パートナーとの強力なエコシステムの構築は、我々がお客様により良いサービスを提供し、グローバルなリーチを広げるために常に優先事項となっています。私たちは、専門知識、デジタルアセット、ソリューションを結集し、クラウドとAIを通じて、より多くの企業のビジネスと業務の革新および変革を支援できることを楽しみにしています。日立のようなパートナー企業とともにデジタルの能力を拡大し、アジア太平洋地域のリーダーへと成長することを目指します。」と述べています。
シングテルは、アジア太平洋地域のデジタル経済におけるイノベーションと経済成長を加速するため、、2023 年半ばに Digital InfraCo を設立しました。Digital InfraCo のポートフォリオには、地域データセンター部門である Nxera、海底ケーブルおよび衛星事業、Paragon プラットフォームが含まれ、これらはすべてこの地域における AI 導入を推進するうえで極めて重要な事業を展開しています。Digital InfraCo は 2024 年後半に GPU-as-a-Service (GPUaaS) の事業を立ち上げ、企業の AI 導入をより効果的にサポートする予定です。
日立の執行役副社長 兼 デジタルシステム&サービス統括本部長の德永 俊昭氏は、「日立は創業以来、『優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する』という企業理念のもと、お客さまや社会の課題解決に取り組んできました。現在、生成 AI により、新たなイノベーションが生まれる一方で、電力需要や環境負荷の課題が顕在化し、いかにこの両者のバランスをとっていくかは、社会イノベーション事業を推進する日立にとって大きなミッションの一つです。今回、シングテルとの戦略的提携により、こうしたミッションに、ともに挑戦できることをうれしく思っています。シングテルの持続可能なデータセンターの開発・運用に関する専門知識と、日立グループが有するグリーン電力のソリューションからファシリティ、データマネジメント・運用までのトータルインテグレーションのケイパビリティを組み合わせることで、企業がスマートかつ環境に配慮した方法でデータセンターを活用し、継続的にイノベーションを創出することを支援していきます。」と述べています。
AIを活用したデータセンターの拡大は、日立の得意とする IT(情報技術)、OT(運用技術)、製品といったあらゆる分野を統合させる必要があるため、日立が全社で取り組む社会イノベーション事業の拡大や、Hitachi Digital Services、 Hitachi Energy などの日立グループのビジネスにとって大きなチャンスとなります。
本協業の内容は以下の通りです。
AI 需要に対応するため、日本およびその他のアジア太平洋地域における次世代データセンターの協力関係を検討: Nxera と日立は、日本およびアジア太平洋地域におけるデータセンター開発の機会を模索します。クラウドと AI の継続的な成長に伴い、高効率で高品質なデータセンター管理を通じて、スマートで環境的に持続可能なデータセンターの運営が重要です。このような取り組みには、データセンターの設計、構築、運用に関する Nxera の専門知識と、データセンターに特化した機器の製造および提供、次世代エネルギーソリューション、データセンター環境内での安定した運用を支える高度な IT システムの運用管理に関する日立の専門知識が活用されます。
Nxera は、シンガポールの 62MW の既存容量に加え、アジア太平洋地域で総容量 200MW を超える持続可能なハイパーコネクテッド AI 対応データセンターのプラットフォームを開発しています。
シングテルの GPU プラットフォームと日立の AI 専門知識を組み合わせ、企業向けアプリケーションを開発: 日立は、シングテルの GPUaaS を社内の AI アプリケーションや AI ワークロードに利用することを検討します。日立社内で、高性能な機械学習、ジェネレーティブ AI などのデジタル技術およびソリューションを強化するため、シングテルのサービスを利用する効果を検証します。その後、企業の持続可能な目標を促進するための、より電力効率の高い設計および運用方式を確立します。
また、両社は、お客様における AI アプリケーションの開発・導入にかかる期間や管理コストを削減することを目的に、日立の社内 GPUaaS の検証結果に基づき、日立のジェネレーティブ AI 技術やプラットフォームなどの専門知識とシングテルの GPU クラウドおよび Paragon プラットフォームを組み合わせたエンタープライズアプリケーションの共同開発も検討します。
[1] Structure Research, Japan (Tokyo & Osaka) DCI Report 2023: Data Centre Colocation, Hyperscale Cloud & Interconnection