その話題に触れる前に、「ワナクライ」のプログラム上の特徴について説明します。
「ワナクライ」はそもそも、「Shadow Brokers(シャドーブローカーズ)」というハッカー集団が米国家安全保障局(NSA)から「エターナルブルー」という脆弱性攻撃プログラムを盗み出したことに端を発します。
このプログラムは世界中で多くの人が使うWindowsの「SMBv1の脆弱性」という脆弱性を突くもので、それが悪用された結果、被害が拡大することとなりました。またNSAは、この脆弱性を利用したツールを使っている事実をマイクロソフトには公開していなかったということもあり、もし脆弱性を報告していればその修正パッチが用意され、そこまで被害は広がらなかったという意見もあります。
「ワナクライ」の被害を加速させた大きな要因は、「ワナクライ」は従来のランサムウェアとは違いワーム型である、という点です。文字通りワーム(虫)のようにパソコンの中を動き回り、インターネットや社内LAN・家庭内LAN経由で他のパソコンにまで感染するという、自己複製して拡散していくウイルスであることから、被害が拡大したと言えます。