1990年代中盤、コンピュータ科学者と数学者で構成された米海軍調査研究所( Naval Research Laboratory、NRL)で、「オニオンルーティング(Onion Routing)」という技術を開発しました。インターネットのような一般ネットワークではない、別途のネットワークを通じて同じウェブページにアクセスしたとしても、完全な匿名性を保証出来るという技術です。
問題はこの「匿名性」にありました。アメリカ政府は、この匿名システムを自身だけで使用するようにすることはできませんでした。アメリカ政府のみ使用すれば接続が感知される度に、接続主がアメリカ政府であることが特定されてしまう為です。真の匿名性の為には、アメリカ政府だけではなく、全ての人が使用できるようにする必要がありました。
そこでこの技術は、オープンソースとして公開され、「The Onion Router」の頭文字を取って「Tor(トーア)」と呼ばれました。現在、匿名性が必要な多くの人がトーアを使用しています。
トーアは特定地域の遮断されたコンテンツへ接続したい時にも使われますが、内部告発者や反体制派、反政府勢力のような人にも有益です。電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation、EFF)は、オンライン上で市民の自由を維持するための手段の一つとしてトーアを推薦したこともあります。トーアは最も有名なダークネットの中の一つです。このようなダークネットが集まり、ダークウェブを構成します。