相談件数が過去最高を更新する一方で、意外なことに、インターネットバンキングなどに関する不正送金犯罪をみると、発生件数は214件で前年比645件減少、被害額は約5億6400万円で前年比3億3300万円の減少となっております。
これは、オンインターネットバンキングで、パスワードが流用されないようにする「ワンタイムパスワード」が普及したことや、不正送金に使用されたIPアドレス等に対する監視が強化され、不正送金をモニタリングする仕組みを導入したことが大きな要因だと考えられています。
オンラインショッピングサイト、インターネットバンキングやアダルトサイトなど比較的インターネット普及当初からあるサービスがサイバー犯罪のターゲットにされる一方で、最近は、新しく登場した「仮想通貨」や、同じく新しく登場した、インターネットと家電などを接続する「IoT」もサイバー犯罪のターゲットにされるようになりました。
今年5月以降、仮想通貨アカウントに対する不正アクセスによる不正送金犯罪が急増しており、認知件数は23件、被害額は約5920万円相当となっております。被害が発生している取引所では、いずれも二段階認証(ログイン用のパスワードとは別に、ワンタイムパスワードなどを使用して二段階の認証を設けてログインさせる方法)を導入していたが、不正送金被害者23人のうち20人(87.0%)が、二段階認証を利用していなかったとのことです。
このように、仮想通貨自体が狙われるサイバー犯罪もありますが、仮想通貨を支払手段としたサイバー犯罪も大きな注目を集めました。今年の5月には、ウイルスがパソコン上のファイルを勝手に書き換え、パソコンの所有者が使えないようにし、所有者が使えるようにファイルを元通りに復元する代わりに身代金を要求する「ランサムウェア」の被害が世界的に拡大しました。
仮想通貨は、インターネットバンキングに比べ、アカウント開設時に本人確認が不要だったり、不十分だったりするため、送金時に本人を特定されないケースもあり、サイバー犯罪の温床になることがあります。
ここ数年で、仮想通貨など新しい技術が普及したことにともない、サイバー犯罪はよりいっそう高度化し、新たな局面を迎えています。