クラウド対応のネットワーク設計において考慮すべき3つのポイントとは

組織のニーズの変化に対応した、シームレスでセキュアかつ最適なネットワークを導入するために重要な設計原則をご紹介します。

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あらゆる場面で、適切な設計の採用が重要であることは言うまでもありません。オフィスのデスクや最先端の人間工学に基づくチェア、アプリのUI、精巧なデバイスやOSに至るまで、適切に設計された製品は、最大限の機能を引き出しながら各種の支障を最小限に抑え、最高のユーザーエクスペリエンスを提供します。これはクラウド対応ネットワークにも当てはまります。複雑なコンポーネントで構成されているクラウド対応ネットワークをシームレスに運用するためには、適切な設計が不可欠です。しかも、ネットワークが進化し、複雑性が増すほど、一層重要になります。設計が適切でなければ、追加コストやシステムの再設定が必要だったり、ビジネスニーズに対応できない劣悪なネットワーク環境になったりと、さまざまな問題が発生する恐れがあります。

クラウド対応のネットワーク設計は、決して容易ではありません。また、期待と現実が必ずしも一致するわけでもありません。例えば、1つのネットワーク設計図ですべてのビジネスニーズを満たせると考える人もいますが、理想的なシステムを実装するためには、それぞれの要件に合わせたカスタム設計が必要です。

また、オーバーレイだけを優先するのではなく、アンダーレイも適切な設計によって統合し、最適な可視性と管理性を確保しなければなりません。誤解されていることが多いのですが、ネットワーク要件は市場によって異なります。従って、個々の規制環境やさまざまなインフラに対応したネットワークを構築する必要があります。

完全に最適化されたクラウド対応のエンタープライズネットワークは、現在および将来の組織の多様なニーズと変化するビジネス需要に対応できる俊敏性、柔軟性、迅速な拡張性を備えるとともに、データセンター、マルチクラウド、インターネット間においてセキュアで信頼性の高い接続を提供できなければなりません。また、ネットワークとセキュリティサービスを単一のクラウドプラットフォームに統合して、スムースにアクセス・監視できるようにする必要があります。

ここでは、クラウド対応ネットワークの構築にあたって考慮すべき3つの重要な設計原則をご紹介します。

1. ネットワークインフラのモダナイズ

クラウド対応ネットワーク導入の成功の中核となるのは、最新のソフトウェア定義(SD)技術で構築された堅牢な基盤です。

セキュアなハイブリッドインフラの構築により、業務の俊敏性を向上:
プライベートネットワークとパブリックネットワークの両方のメリットを求める組織には、ハイブリッドネットワークの導入が推奨されます。ハイブリッドネットワークとは、プライベートネットワークの高い信頼性と安全性、およびパブリックインターネットの優れた拡張性と費用対効果を組み合わせたソリューションで、これを実現するには、広範なエリアをカバーするサービス、セキュアなトラフィック・ルーティングによる一貫したインターネット・パフォーマンス、リアルタイム監視と可視性のためのツール、異種システムの管理能力を提供するプロバイダーとの連携が必要です。

最新テクノロジーで世界の主要市場に進出:
海外へのネットワーク拡大は容易ではありません。これを成功させるためには、主要な市場に関する深い専門知識とつながりを持ち、グローバルとローカルの両方で最新テクノロジーを提供できるパートナーから、地域を問わずにネットワークを拡張するための適切なツールを得る必要があります。このようなソリューションには、クラウドやSASEと統合されたSD-WANゲートウェイ、マネージドPOPの広範なネットワーク、各国の支社をシームレスに相互接続する現地接続サービスなどが含まれる場合もあります。

仮想ネットワーク機能(VNF)を単一デバイス上で迅速に展開:
組織が拡大するにつれ、異なる拠点における複数のネットワークの管理が一層複雑化し、リソースを要するようになります。ネットワークの可視性が低いと、システムの監視やトラブルシューティングに支障をきたします。このような問題は、VNFを活用し、異なるサービスを1つのハードウェアプラットフォームに統合して、ネットワークの拡張に合わせて可視性と制御性を向上することによって解決できます。

2. クラウドへの最適化

クラウド対応ネットワークの導入により、パフォーマンス最適化とコスト削減を実現することも、重要な設計原則の1つです。これは、マルチクラウド環境のセキュアなハイブリッドネットワークを設計し、各パブリッククラウドのポリシー管理、ワークロードのライフサイクル構成、WANアーキテクチャなどの要件を確実に満たすことで実現できます。さらに、エッジコンピューティングに5Gを活用することも可能です。

3. 強固なセキュリティ対策でネットワーク運用を変革

ネットワーク拡張後も、セキュリティとレジリエンスを維持することが重要です。より多くの拠点、リモートワーク設定、マルチクラウド環境がネットワークに含まれる場合は、ゼロトラストの概念に基づいてセキュリティ対策全体を再検証することが推奨されます。また、AIやMLベースのアプリケーションやSASEを使用することで、より高度な監視体制や、俊敏性の高いネットワークセキュリティを実現できます。

組織が適切に機能するためには、優れた設計のネットワークを採用することが極めて重要です。クラウド対応ネットワークの設計と導入において豊富な経験と実績を持つシングテルのようなプロバイダーと連携することで、ミッションクリティカルな業務を強化するための強力な基盤を確立できます。

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シングテルのマネージドSD-WAN:変化するビジネスニーズに迅速に対応する柔軟で敏速なネットワーク

 

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