クラウド対応ネットワーク構築における複雑性に対応する

クラウドに対応したネットワークを適切に実装し、そこに潜んでいる潜在的な課題を克服することは容易ではありません。

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クラウド対応ネットワーク構築における複雑性に対応する

クラウドに対応したネットワークを適切に実装し、そこに潜んでいる潜在的な課題を克服することは容易ではありません。それでは、どう対処すべきでしょうか。

超高層ビル、最新のIT機器、あるいは複雑なビジネススキームなど、いくつかの例を挙げるまでもなく、世界中のあらゆる“物事”は強固な基盤の上に築き上げられます。そして同じことがデジタル化にも当てはまります。つまり、ネットワークは強固で安全な基盤上に構築する必要があるということです。

新型コロナウイルス感染拡大による混乱から学んだことがあるとすれば、従来型のレガシーシステム、つまり重々しいハードウェア、時間がかかって面倒なセットアップ、コストがかかりつまらないメンテナンス要件があるシステムは、現在および将来の需要には耐えられないということです。一方、ソフトウェア・デファインド・テクノロジーを使用して構築された最新のクラウド対応ネットワークであれば、企業が将来起こりえる課題に取り組むために必要な、迅速かつ柔軟な拡張性を得ることが出来るでしょう。

グローバル企業においては、事業を強化する上でクラウド対応ネットワークを導入することが重要であるという認識が広がりつつあり、そのようなシステムの導入が加速していることもガートナー社の予測から明らかです。例えば、2022年には全データベースの約75%がクラウド上でホスティングされ、さらに、世界中のクラウドの収益は2021年の4,080億USドルから2022年には4,740億USドルに急増するとされています1。また、2025年までには65%の企業がSD-WAN(ソフトウェアによって定義/制御された広域ネットワーク)の導入を果たし、アジリティの向上やクラウドアプリケーションへの対応を図ると予測されています。

ソフトウェア・デファインド・テクノロジーを活用してクラウド対応ネットワークのポテンシャルを最大限引き出すことで、下記に挙げるような恩恵を受けることができると考えられます。

  • 迅速かつカスタマイズされたオンデマンドのネットワーク導入による、コストと運用の大幅な効率化
  • 集中管理されたアプリケーションや幅広い管理ツールと、リアルタイムの可視性を通じた、ネットワーク全体のコントロール改善
  • 既存のサービスとの統合、および相互運用機能によるシームレスなエクスペリエンス

このような恩恵は、迅速かつ安全に新しい市場に参入するために必要なアジリティと柔軟性をもたらし、ハイブリットの勤務体制が増加する中において、企業が複数のクラウドにわたって安定した接続を維持できるようになります。また、最適化されたレジリエントなネットワークによって、混乱が生じた場合でも事業を継続することが出来るようになります。

しかし、これを確立させることは容易ではありません。クラウド対応ネットワークを構築するときに検討すべき課題について見ていきましょう。

基準に満たないネットワーク設計やソリューションによる非効率性:クラウド対応ネットワークを確立する上での複雑性と作業範囲は、過小評価されがちです。さらに、計画が不十分な場合、データ漏洩が発生するおそれがあります。

移行中の運用の混乱:古い規制環境から新しい規制環境に移行するときには、運用上の混乱が発生する可能性があります。このような事態に備えて計画を立て、適切に対処しないと、事業収益が損なわれる可能性があります。

関与するテクノロジーベンダーの多さ:選択肢が数多くある中で、企業にとって最適な技術を特定することが難しい場合があります。また、複数のプロバイダーと取引することでかえって非効率になることもあります。

必要なスキルとリソースの過小評価:クラウド対応ネットワークを展開するためには適切な専門知識とリソースが必要です。しかし、資格のない社内の技術者や経験の少ないプロバイダーなど、ネットワーク構築とクラウドテクノロジーについてのスキルギャップに直面する場合があります。

付加価値の高い保守やサポートの欠如:ネットワークは進化し続けているため、継続的なサポートが必要です。しかし、すべてのプロバイダーがそのようなサービスを提供しているとは限らず、ダウンタイムが拡大してしまうおそれがあります。

幸いなことに、これらの問題は適切なプロバイダーと協力することで解決することができます。クラウド対応ネットワーク構築における理想的で包括的な戦略は、私たちが「3Rアプローチ」と呼ぶ3つの要素に焦点を当てる必要があります。すなわち、適切な設計とソリューション構築(Right Design)、適切なインフラ(Right Infrastructure)、適切な運用・人員・スキル(Right Operation)です。

理想とされるベンダーは、画一的なモデルを適用するのではなく、個々のビジネスニーズに対応すべくカスタマイズされたシステムを設計しなければなりません。また、クラウド対応ネットワークを確立するために、ソフトウェア定義の接続ソリューションを包括的に備えたインフラが求められます。そして、安心して利用できるよう、堅牢なサービス管理と現地のサポート体制を確保するため、必要な運用、人員およびスキルがベンダーに備わっている必要があります。

クラウド対応ネットワークのスペシャリストとして実績のあるシングテルは、お客様が複雑なデジタル化のハードルを乗り越えられるよう、迅速なネットワークの立ち上げや運用を支援しています。

1. Gartner, Critical Capabilities for Network Services, Global, March 2021

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