パンデミック後の経済におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)のためのフレームワーク

新型コロナはDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを頓挫させたのでしょうか。ビジネスが徐々に回復に向かっている今は、DX戦略を改善する良い機会かもしれません。ここでは、DX戦略を改善するために必要な、4つの『R』から成るフレームワークをご紹介します。

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「変革的なプロジェクトで成功を収めるには、組織全体の考え方や行動を大幅にリセットしなければなりません。」

DXを加速するフレームワーク

新型コロナの感染拡大に伴い、渡航制限およびロックダウンを緊急に実施する必要があったことは、世界中の企業を驚かせました。都市封鎖がなされ、労働者への外出自粛の要請が発令される中で、企業は突然テレワークという難題を突き付けられました。テレワークへの備えができているかどうかに関わらず、このパンデミックは組織のデジタル化への取り組みに対する試金石となったのです。

なぜDXはうまくいかないのか

航空会社や観光業などの一部の業界が渡航制限によって打撃を受ける中、比較的影響が少なかった分野でのビジネスも、生産性を維持していくのが難しくなりました。考えられる原因としては、デジタル化への準備不足や、以前デジタルシステムに投資したにも関わらず、期待したような効果が得られなかった、ということが挙げられます。

マッキンゼー・アンド・カンパニー社 [1]によると、DXの70%が失敗するというのは、それほど驚くべきことでありません。組織はテクノロジーの重要性やデジタルプロセスを確立する必要性を認識してはいますが、そのことと、実際にうまく実行できるかどうかは全く別問題なのです。挫折したDXプロジェクトの要因には、リソースの問題や明確性の欠如、組織のデジタル化戦略に対する連携不足、またそもそも戦略自体が脆弱であることなどが含まれます。

しかし、成功への扉はまだ開かれています。同じレポートの中で、マッキンゼー・アンド・カンパニー社は、DXが停滞していると報告した回答者の過半数(60%)の問題は、デジタル化を適切にコントロールし重点的に取り組むことによって改善できるものであったと報告しています。このことは、たとえ最初のDXの取り組みがうまくいかなくても、また最初に計画したような結果が現実に得られなかったとしても、組織はあきらめるべきではない、という励ましとなります。むしろ企業は最初の失敗で得た教訓を生かし、妥協することなく、さらに集中力を高めてリトライするべきなのです。

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DXを成功させるためのフレームワーク

国家や都市が徐々に回復への道を歩んでいる中、DXへの道標を見失ってしまった企業や、純粋にDXを改善したいと考えている企業にはチャンスがあります。企業がDXへの取り組みを加速させるために、4つの『R』から成るフレームワークをご覧ください。

4つの『R』:

Refocus(リフォーカス):DXの取り組みは孤立して存在しているものではありません。現在の経済状況を無視していては惨禍への一途をたどることになるでしょう。パンデミック後、組織は、DXの取り組みを含めた企業の目標が、経済状況やビジネスの運用環境とマッチしたものとなるように、調整することから始める必要があります。現実的かつ達成可能な目標を設定しましょう。

Review (レビュー):組織内で新しい目標への合意が得られたら、次のステップとして、改革について検討することと、新体制で成長していくために必要な投資が必要となります。ビジネスモデルを根本的に変更する必要があるでしょうか? 最後に、必要となるスキルセットやリソースとの差分を適切に埋めていくため、事前に既存のスキルセットとリソースを精査しておく必要があります。

Rebuild (再構築):これは既存のシステムやプロセスを新しいデジタルインフラやビジネスプロセスによって強化していく部分です。前述のReviewのプロセスで明確になった差分に基づいて、新しいテクノロジーの購入や開発が必要になることもあるでしょう。このステップにおける目標は、組織を適時に再構築するために、信頼できるプラットフォームや基盤を築いていくことです。

Restart (再起動):明確なロードマップをもとに、停止していたDXの取り組みを始動させてください。これは30日計画あるいは6ヶ月計画になるかもしれませんが、重要なステップと優先順位を明らかにし、既存のビジネスオペレーション改革の実現を確実にすることこそが目的なのです。

マインドセットを変える

変革的なプロジェクトで成功を収めるには、多くの場合、組織全体の考え方や行動を大幅にリセットする必要があります。これはつまり、組織の上層部によって作業が進められなければならない、ということを意味します。

成功の可能性をより高めるにあたって、財務および人事の各専門家によってサポートされる変革推進室(TO=Transformation Office)を設立する、というのも良い方法でしょう。 TOチームは定例会議を取り仕切り、4Rフレームワークの一部として作成されたロードマップを着実に推し進めるようにします。ゆっくりとしたスピードの変革は効果的ではありません。変革に向けて着実に計画を進めていくことが不可欠です。

最後に、複雑で高度に設計された資産を持つ組織において真のDXを行うには、システムやプロセス、人員などといった全ての要因を緊密にコントロールする必要があります。適切なフレームワークとそれを推し進めていこうという決意があるのなら、次のDX推進が成功しない理由はありません。

DXを加速させる方法については、弊社までぜひお問い合わせください。

[1]The ‘how’ of transformation

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