規制の厳しい市場へ、クラウド対応ネットワークを展開する

クラウドに対応したネットワークを規制要件の異なる地域で展開するのは容易ではありません。その過程でさまざまな課題に直面することもあります。

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規制の厳しい市場へ、クラウド対応ネットワークを展開する

企業にとってグローバル展開は大きな経営課題ですが、事業を拡大できれば成長やイノベーションの機会を創出し、新しい顧客層を開拓し、新興市場で存在感を示すことが可能になります。

2040年までに世界のGDPの50%以上、消費の40%を占めることになると見られるアジア市場への展開が、特に注目されています1。また、海外から直接多額の投資を受けているトップ10の企業のうち、5社がアジアに拠点を構えており2、2020年~2023年の間にデジタル化に1兆2千億米ドルが投じられると予測されています3

企業が外国の市場環境でも適切に機能するためには、強固なネットワーク基盤が不可欠ですが、クラウド対応ネットワークの構築・拡張に取り組む企業にとって、規制要件の異なる地域への事業拡大は大きな課題となります。

例えば、アジアの複雑なコンプライアンス要件や異なるインフラ環境に対応するのと同時に、欧州のデータ保護とプライバシーに関する厳しい法律も遵守しなければなりません。一方、中国に進出する場合には、広範かつ複雑な国土で、安定したネットワーク接続を確保する必要があります。

ここでは企業が直面しがちな課題と、その課題をどう回避すべきかについて、ご紹介します。

国ごとに異なるインフラ開発の段階

すべての地域で、高機能なネットワーク構築に必要な包括的なインフラが整備されているわけではありません。国によってインフラの状況は異なります。特にアジアでは、国や地域ごとにインフラの整備状況が大きく異なるため、対応するのが困難です。

正しい知識とソリューションがなければ、ネットワークの展開が大幅に遅れたり、複雑化したり、ネットワークの品質が損なわれたりする可能性もあります。

複雑な法規制への完全対応

国や地域によって独自の規制要件が定められています。例えば、中国に進出する企業は中国のサイバーセキュリティ法を、欧州に進出する企業はGDPR基準などの厳しいプライバシー規制を、それぞれ遵守しなければなりません。

さらに、複雑なファイアウォール規制、ホスティングルール、ライセンス要件などにも対応する必要があります。十分な専門知識がなければ、これらの取り組みに多大な時間とリソースを費やすことになります。

安定したネットワーク品質の保証

ネットワークがますます複雑化する中で、新たな顧客層に対応し、グローバル拠点との良好な接続状態を保つためには、バランスの取れたネットワークパフォーマンスを維持する必要があります。

しかし、遠隔地やアクセスしにくい地域で、安定したネットワーク品質を保証するのは容易ではありません。また、すべてのプロバイダーが、各国内の拠点間をシームレスに相互接続するための現地インフラ、パートナーシップ、サービスなどを用意できるとも限りません。

ローミングや税制に関する規制の細分化

二国間や多国間、さらには地域内レベルでもローミング規制が細分化されている場合があります。

また、国際ローミングサービスに関する複雑な税制や料金規制にも対応しなければなりません。このような規制への対応に追われることによって、インフラを担うチームが他の重要なタスクに集中できなくなる恐れがあります。

上に挙げた課題はどれも克服するのが難しいように思えますが、一方で既存のネットワークを改善するためのチャンスにもなります。最適なソリューションと、現地での経験に基づく実績、そしてグローバル拠点でのパートナーシップを有する適切なプロバイダーと連携できれば、これらの課題を解決できる可能性が高まります。ネットワークの完全管理や共同管理、またニーズに合ったネットワーク設計のカスタマイズを提供できるプロバイダーを採用できればさらに効果的です。さらに、現地の事情に精通した経験豊かなサポートスタッフの存在も重要です。

現地に関する深い知見を持つパートナーであれば、さまざまなコンプライアンス要件への対応を支援できます。例えば、GDPRに準拠したネットワークを構築したり、グローバル拠点における規制当局に関する専門知識を提供したり、ローミングや税制のルールに対応することができます。

そして、安定したネットワーク品質を実現するために、広範な海底ケーブルシステム、主要地域のPOPやSD-WANゲートウェイなどの堅牢なグローバルインフラを展開しているベンダーを採用し、現地プロバイダーと連携することができれば、トップクラスのネットワーク品質を実現することも可能になります。

適切なパートナーであれば、現地拠点における、お客様のネットワークに対する24時間365日のグローバル運用サポートに加え、高い信頼性と豊富な経験を備えた現地サポートスタッフによるサービスを提供することができます。また、あらゆる導入プロセスをスケジュール通り実施し、障害発生時にも迅速な復旧を期待できます。

シングテルは、クラウド対応ネットワークのスペシャリストとして、グローバルな専門知識を活用し、お客様が成長市場に確実に進出できるように導く理想的なパートナーです。包括的なサービスによって、新しい市場への参入をサポートするとともに、ネットワークの強化・最適化の機会を捉えることが可能になります。

1. McKinsey & Company, Asia’s Future Is Now, July 2019

2. ITU, Digital Infrastructure Policy and Regulation in the Asia-Pacific Region, September 2019

3. IDC, IDC Predicts 65% of APAC* GDP Will Be Digitalized Reaching US$1.2 Trillion in Spending by 2022, November 2020

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