IoTアプリケーションに求められるネットワークテクノロジー

納入先ブランドによる受託製造(OEM)では、要求される接続インフラを実現するために、大規模なIoTアプリケーションを取り入れるケースがあります。アプリケーションごとに独自のネットワーク要件が設定されている場合、どのように適した技術を選択すればよいでしょうか。

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通信サービスに対する需要が増えるのに伴いテクノロジーが進歩したおかげで、自動車向けIoTアプリケーションも増加しています。包括的なネットワーク接続に相当する自動車向けIoTアプリケーションは、1台の車両に100を超えるIoTデバイスがあり、それぞれが1分ごとにデータを送信、処理、保存、分析しています。IoTアプリケーションには、それぞれに固有のニーズがあります。使いやすい接続オプションも多数あり、それぞれに長所と短所があります。大切なのは、アプリケーション固有の領域に対し最適な接続オプションを選択することです。

IoTによって、自動車にコネクテッドがもたらされ、そしてコネクテッド機能の需要は今後ますます増大する見込みです。テックナビオ社によると、自動車用コネクテッドカープラットフォーム市場は49.2億米ドルの成長が見込まれており、2021年から2025年の間にほぼ13%の年平均成長率を記録する見込みです。そして、アジア圏においては2020年に市場シェアの約42%を占めており、マーケットプレイヤーにとって大きく成長するチャンスです。1

OEMにおいては、すでに戦略的にIoTへの取り組みが進んでおり、顧客の要望に応じてコネクテッドカーを提供しています。しかし、今日の顧客が期待するような優れたユーザー体験を適切に提供するには、IoTを大規模に導入する必要があります。デバイスとデータ量が増えるにつれて、広範囲なカバレッジと大きな容量を兼ね備えた、高速、安全、適応性のあるネットワーク接続も必要になります。

IoTに求められるネットワークテクノロジー

コネクテッドカーのIoTアプリケーションで使用される通信には、他の車両や道路、および交通インフラ、セルラーネットワーク、クラウド、他のデバイス、および歩行者と通信するために、ワイヤレスネットワークが用いられます。IoTアプリケーションにはそれぞれ、独自のネットワーク接続要件により決められた設定があります。また、ネットワークテクノロジーにはそれぞれ、長所と短所があります。

利用可能なワイヤレスネットワークテクノロジーには、長距離セルラー(3G、4G、5G、LPWAN)ならびにWi-Fiなどの専用短距離の2種類があります。Wi-Fiは一般的ですが、依然として信頼性とセキュリティに課題があります。そのため、低電力ワイドエリアネットワーク(LPWAN)などの長距離セルラーネットワークの人気が高まっています。LPWANは、データを大量に消費しない低帯域幅のIoTアプリケーションに最適です。LPWANテクノロジーで利用できるネットワークは数多くあり、中でも、ナローバンドIoT(NB-IoT)とカテゴリーM1(Cat-M1)を優先する動きがあります。これらのネットワークテクノロジーは両方とも3GPPで標準化されています。確立されたエコシステムによってサポートされているため、迅速に展開・拡張でき、地域内のネットワークプロバイダー間での相互運用が可能です。

NB-IoTは、単純なIoTデバイス向けに設計されています。低遅延かつ小さい断続的なデータ送信が求められるもの、例えばパーキングセンサーといったデバイス向けです。低コストで消費電力も少なく、カバレッジが困難な領域で高い信頼性を示しています。一方、LTE-Mとしても知られるCat-M1は、NB-IoTを補完するテクノロジーであり、長距離間で少量から中量のデータを転送するには理想的です。今日ある2Gおよび3GIoTアプリケーションの代替として、必要十分な速度の帯域幅を提供します。

一方、3G、4G、5Gなどの長距離セルラーネットワークテクノロジーは、信頼性の高いブロードバンド通信を提供できる反面、運用コストと電力要件が高くなります。これらはバッテリー駆動のセンサーネットワークには適していませんが、ユビキタスで高帯域幅のセルラー接続に依存しているため、インフォテインメントシステムやトラフィックルーティング、ドライバーアシスタンスシステム、フリートトラッキング、管理システムなどのアプリケーションに最適です。

次世代の5Gネットワークでは、広帯域幅、低遅延、大容量などの利点を生かして、完全自動運転車の開発が進むことが期待されています。5Gによって速度、遅延、信頼性、および電力消費を改善しながら、同時に多数の接続をサポートできるため、IoTが進化するにつれて5Gの機能が重要視されるようになります。一方で5Gを介して接続されるデバイスがはるかに多くなるため、攻撃に対する脆弱性が高まる恐れがあります。したがって、ネットワークへの脅威を軽減するためには、優れたIoTセキュリティプラクティスが必要です。

ネットワーク接続要件への対応

コネクテッドカーでは多数のデバイスと接続を確立する必要があるので、ネットワーク接続要件に対しては戦略的な準備が必要です。ネットワークインフラを評価する際には、範囲、帯域幅、セキュリティ、消費電力、サービス品質、ネットワーク管理などが評価のポイントになります。そして、ネットワークがデバイスと接続をサポートするときに重要になるのは、速度、適応性、地域または市場全体のカバレッジです。どの地域においてもIoT SIMやデバイスは無数にあります。あらゆる場所からの接続管理を容易にするため、IoTコントロールセンターは不可欠です。

それぞれのIoTアプリケーションに適したネットワーク接続テクノロジーを選択することが大切です。シングテルは、3G、4G、CAT-M1、NB-IoT、5Gなどの主要なIoT接続テクノロジーの専門知識を有するアジアの主要な通信テクノロジーグループです。詳細については、シングテルまでお問合せください。

ソース:
1 テックナビオ社 グローバル自動車 コネクテッドカープラットフォーム市場 2021年。

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